剣道の試合を見ていて、「あれ?今の一本じゃないの?」と思うこともありますね。
剣道はフェンシングと違って、当たればよいというものではなく、
一本になる要件を満たしている必要があります。
この記事を読むと剣道の有効打突が分かります。
初心者の方にも分かりやすいように解説します。
剣道の有効打突とは?【一本になる打ちとは?】
剣道の有効打突は、試合で一本と認められる正しい打ちのことです。
気剣体の一致した正しい打ちと残心ができていることが重要です。
どうなれば一本になるのかというと、
剣道連盟によると、有効打突には要件と要素があります。
この要件と要素が満たされていれば一本になります。
子供や初心者の試合の場合は、全部を満たしていなくても一本にする場合がほとんどです。
そうしないと、いつまで経っても試合が終わりませんからね。
とはいえ、有段者でも完璧な有効打突を打つのは難しいです。
初心者のうちから意識しておくと、上達が早くなります。
こういう一本が打てるように練習しましょう!
剣道の有効打突の要件
剣道の有効打突の要件は
・充実した気勢=気合、声がしっかり出ているか?
・適切な姿勢=打った時に姿勢がくずれていないか?
・竹刀の打突部で打突=竹刀の剣先から中ゆいあたりで打っているか?
・相手の打突部位を打突=面、小手、胴、突きの正しい場所を打っているか?
・刃筋正しく打つ=竹刀の打ちの向きと刃の向きが合っているか?
・残心がある=打った後、次の打ちのための構え(準備)ができているか?
特に竹刀の打突部、打突部位、刃筋、残心はわかりにくいですね。
順番にみていきます。
充実した気勢=気合、声がしっかり出ているか?
初心者のうちはなかなか声が出ないです。
声の大きさの目安は体育館の端っこで試合をしていても体育館の隅っこにいる人がびっくりして振り返るぐらい
です。
(今はコロナ対策で、マスクもつけてますし、ちょっと控えめにと指導されてます)
声は腹筋を使って腹から出すようにしましょう。
この声が出るようになると、打ちにも力が伝わり、強い打ちができるようになります。
適切な姿勢=打った時に姿勢がくずれていないか?
打った時に体が前のめりになったり、左右に曲がったりしないように、
体はいつもまっすぐを意識しましょう。
多少体がかたむくぐらいはOKですが、変な体勢にならないように注意しましょう。
竹刀の打突部で打突=竹刀の剣先から中ゆいあたりで打っているか?
竹刀の打突部は剣先から竹刀の1/3ぐらいまでの部分のことです。
剣先から中ゆいの少し下ぐらいまでの部分(ものうちと言います)で打ちます。
残念ながら竹刀のつばに近いところでいくら打っても一本にはなりません。
また、剣先だけで打っても一本になりません。
相手の打突部位を打突=面、小手、胴、突きの正しい場所を打っているか?
これも意外と勘違いしていることが多いです。
打突部位は決められていて、それ以外の部分を打っても一本になりません。
面の打突部位
剣道の面の打突部位は、面布団の頭頂部から左右のひものあたりまでです。
面金の部分は打突部位ではないので、面金に当たっただけでは一本にはなりません。
小手の打突部位
剣道の小手の打突部位は、小手布団の部分です。
小手のこぶしや指のところは打っても一本にはなりません。
相手が中段の構えの時は右小手を狙います。
相手が上段の構えの時は左小手を狙います。
胴の打突部位
剣道の胴の打突部位は胴の左右の部分です。
実は、胴の正面の部分は打突部位ではないので、打っても一本にはなりません。
胴は特に斜めに打つので、刃筋に注意しましょう。
突きの打突部位
剣道の突きの打突部位は突きたれ全体です。
たれ全体が打突部位なので、ど真ん中でなくても、下の方でも一本になります。
突きは高校生以上は認められていますが、初心者の方は突きを使うのは危険なのでやめておきましょう。十分練習を積んでから使うようにしてくださいね。
刃筋正しく打つ=竹刀の打ちの向きと刃の向きが合っているか?
竹刀は本来は刀で刃があることを意識してください。
竹刀のつるの反対側が刃です。
打ちの向きと刃の向きを合わせて打ちます。(刃筋が通ると言います)
打ちの向きと刃の向きがバラバラだと、切れないですよね。
特に胴や左右面、小手を打つ時は刃筋が通っているか注意しましょう。
素振りの左右面打ちの時に、刃筋を通して打つ練習をしてくださいね。
残心がある=打った後、次の打ちのための構え(準備)ができているか?
残心は剣道初心者が分かりにくい剣道の用語のひとつですね。
簡単にいうと、打った後、間合いを切って次の打ちをくり出すための構えができている状態のことです。
打った後、相手の横を通って、振り返り、構える
と教わりますが、これが残心の基礎になります。
構えた時には相手との間合いは切れているようにしましょう。
相手が近くにいるのに構えたら、打ちこまれます。
構えについては別の記事で詳しく解説していますので、どうぞ。
剣道の有効打突の要素
剣道の有効打突の要素は5つです。
・間合い=相手との距離を取って一足一刀の間合いから打っているか?
・打突の機会=打つべきタイミングを捉えているか?
・体捌き=打つ時、打った後の足さばきができているか?
・手の内の作用=手首のスナップが使えているか?
・強さ(強度)と冴え=強い打ちができていて、「パン!」とよい音が出ているか?
どれもめちゃくちゃ重要ですので、順番にみていきましょう。
間合い=相手との距離を取って、一足一刀の間合いから打っているか?
剣道の有効打突の要素1つめは間合いです。
構えたところから打っているか?が重要です。
相手の近くからいくら打っても一本にはなりません。
遠間から打ち間に入って、一足一刀の間合いから打つことを意識しましょう。
また、自分が打った時に相手の竹刀の剣先や刃が自分の体に触れている場合は一本になりません。
打突の機会=打つべきタイミングを捉えているか?
剣道の有効打突の要素その2は打突の機会です。
打突の機会=打つべきタイミングで打っているか?です。
打突の機会は
・相手の動作のおこり頭=相手が打ってこようとしたとき(出ばな)
・相手の技が尽きたところ=相手が打ち終わったとき
・相手が居ついたところ=相手がびっくりした時や動けない時
・引きはな=相手が下がるとき
・こちらの技を受け止めたところ=面を受けたら胴や小手があきます
・息を深く吸うところ=息が切れて吸うときは動けないのでチャンス
などが主なタイミングです。
打突の機会については別の記事で詳しく解説します。
体捌き=打つ時、打った後の足さばきができているか?
剣道の有効打突の要素3つ目は体捌きです。
体さばきは打つ時や打った後の足さばきが正しくできているか?がポイントです。
打った時の踏み込み足が正しくできているか
打った後に相手との間合いを切って、残心をとるまでの動作が送り足でできているか
に注意しましょう。
特に手足がバラバラになってしまわないように、気剣体の一致は必須です。
踏み込み足と送り足の足さばきについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
手の内の作用=手首のスナップが使えているか?
剣道の有効打突の要素4つ目は手の内です。
打った時に手首のスナップがしっかり使えているかがポイントです。
手の内は次の項目の打ちの「冴え」に大きく影響します。
手の内については別の記事で詳しく解説していますので、参考にしてくださいね。
強さ(強度)と冴え=強い打ちができていて、「パン!」とよい音が出ているか?
剣道の有効打突の要素4つ目は打ちの強さです。
打ちの強さは手の内だけでなく、踏み込みや姿勢など体全体の動きで作り出します。
実際、審判をしている時、打ったときの音は重要な判断基準の一つです。
特に高段者の先生の打ちは強く、冴えがあります。
手の内が使えていると、パン!と良い音がします。
刺し面(小さく振り上げる面打ち)で、あまり大きく振り上げなくても強くて冴えのある打ちができるように練習しましょう。
剣道の有効打突の要素と要件【一本になる打ちとは?】まとめ
この記事では剣道の有効打突の要素と要件について解説しました。
剣道の有効打突の要件は
・充実した気勢=気合、声がしっかり出ているか?
・適切な姿勢=打った時に姿勢がくずれていないか?
・竹刀の打突部で打突=竹刀の剣先から中ゆいあたりで打っているか?
・相手の打突部位を打突=面、小手、胴、突きの正しい場所を打っているか?
・刃筋正しく打つ=竹刀の打ちの向きと刃の向きが合っているか?
・残心がある=打った後、次の打ちのための構え(準備)ができているか?
剣道の有効打突の要素は
・間合い=相手との距離をしっかり取ったところから打っているか?
・打突の機会=打つべきタイミングを捉えているか?
・体捌き=打つ時、打った後の足さばきができているか?
・手の内の作用=手首のスナップが使えているか?
・強さ(強度)と冴え=強い打ちができていて、「パン!」とよい音が出ているか?
でした。
ひとつずつ考えながら打っていては難しいです。
これを「考えなくても打てる」状態になったら、初心者は脱出できたと言えます。
ポイントは、
・一足一刀の間合いから
・大きな気合の声と同時に打つ(気剣体の一致)
・打った勢いのまま相手の横を抜けて
・構える(残心)
という基本の打ち方に全て凝縮されています。
誰がみても「一本」と言える打ちを目指して練習しましょう!