日本剣道形をわかりやすく解説します。
太刀の形7本と小太刀の形3本の合計10本の重要ポイントを総点検しましょう。
剣道形は奥が深いので全部を完璧にするのはとても難しいですが、
この記事を読むと最低ラインはクリアできます。
5段の審査に向けての備忘録として書いています。
日本剣道形全体の共通ポイント
日本剣道形全体の共通ポイントは、
・大きな声(気勢)
・すり足でつま先を上げない
・相手の目を見る(目付け)
・打太刀がいつも先に動く
・仕太刀の打ちは寸止めで素早くギリギリ(3cmぐらい)のところを打つ
・打ち以外は急がない
・残心をとる
です。くわしく見ていきましょう。
大きな声(気勢)
日本剣道形の掛け声は決まっていて、
打太刀は「ヤァァ!」
仕太刀は「トォォ!」
と大きな声で腹から声を出します。間違っても「メン!」とか言わないように(←たまに居ます。笑)
すり足でつま先を上げない
日本剣道形はずっとつま先を上げずにすり足で動きます。
これも初段ぐらいだと意外と盲点になっている人も多いです。
特に、後ろに下がる時につま先が上がってしまう人が多いです。
かかとを少し上げた状態でつま先で足さばきをする意識を持っていれば大丈夫です。
相手の目を見る(目付け)
ずっと相手の目を見ます。相手の木刀は見ないのが理想です。
初段の人だけでなく、二段、三段ぐらいの人でも、目付けができていない人が結構います。
なので意外と難しいですが、
相手との間合いや動きを、相手の目を見た状態で、全体を見る意識を持ちましょう。
打太刀が先に動く
日本剣道形は必ず打太刀(先に打つ方)から動きます。
打太刀と仕太刀はそれぞれ
・打太刀・・先生や上級者
・仕太刀・・生徒や初級者
という役割で、打太刀が仕太刀に技を教えるという形になっています。
先生(打太刀)が先に動いて、生徒(仕太刀)はそれに合わせて技を繰り出すと理解しておけばOKです。
急がない、慌てない
日本剣道形は急がずしっかりと技を出します。
3歩進むときと、5歩下がるときも急がずに移動します。
特に初段の審査では動きが速すぎる人が多いです。
残心をとる
残心は、技を決めた後、相手が動いても対応できる体勢(構え)をとることです。
打ち終わった後、2秒ぐらい、グッと相手を威圧して相手が動けないようにするイメージです。
日本剣道形の礼法のポイント
日本剣道形の礼法のポイントは3段以下(小太刀なし)と4段以上(小太刀あり)で少し違います。
4段以上(小太刀あり)の場合、小太刀を置いてから。
・仕太刀は太刀と小太刀を持って、
・仕太刀は9歩の間合いよりも後ろで小太刀を自分の右側に置きます。
左手で太刀を支えながら、右手で小太刀を刃が自分の方を向くように置きます。
・このとき、打太刀は立ったまま待ちます。
・右手に刀を持って、9歩の間合いに立って立礼
ここから先は共通です。
3段以下(小太刀なし)の場合はここから(4段以下も共通)
・木刀を右手に持って9歩の間合いに立ちます。このとき右手の親指はつばにはかけません。
・正面に礼(30度)、お互いに礼(15度)をして、木刀を右手から左手に持ち換えます。
・左手の親指をつばにかけます。(真剣の場合、つばを押さえていないと刀が抜けてしまうため)
・右足からすり足の歩み足で3歩進んで刀を抜き、蹲踞(そんきょ)
・蝕刃(しょくじん)の間合いで中段に構えて
・刀を下げ(刃は左下を向け、剣先の高さは膝下3-6センチ)、
・左足から5歩下がって、9歩の間合いに戻り中段に構える。
蝕刃の間合いは、剣先が触れ合う間合いです。
間合いが合わない場合は打太刀が前後に動いて調節します。
移動はすべてすり足なので、つま先を上げずに、かかとを少し上げたまま動くようにするとよいです。
4段以上の木刀の置き方は日本剣道形の解説書に明記されていないので、
先生や地域によって解釈に違いがある場合があるようです。
日本剣道形1本目、2本目、3本目のポイント
1本目、2本目、3本目は初段以上の審査で使う形です。
1本目 面抜き面
2本目 小手抜き小手
3本目 水月(みぞおち/みずおち)への突きをかわして胸突き
1本目のポイント
1本目のポイントは
・打太刀は左諸手上段から、相手の柄(つか)ごと相手を一刀両断するするように振り下ろします。
このため、相手の面に届く位置から面を打ちます。
面が届く位置から打つと相手に当たりそう怖いですが、しっかり打ちましょう。
・仕太刀は面をくらわないように左足から一歩下がって面をかわし、右足から1歩進んで正面打ちです。
2本目のポイント
2本目のポイントは
・打太刀は一足一刀の間合いから大きく小手打ち
・仕太刀は刀を下げながら、左斜め後ろに下がって小手をかわして、大きく小手打ち
・打ったあとしっかりと相手が動けないように威圧するように残心
3本目のポイント
3本目のポイントは
・下段から中段になるときに目付をはなさない(刀を見ない)
・中段に構えたところから打太刀は相手のみぞおちに向けて刀を左にひねって突きます。
・仕太刀は左しのぎでなやして(中段の構えから刀を左にひねりながら下がる)、打太刀の胸を突きます。
・打太刀は右足、左足と進み、剣先を胸から顔の中心に向けながら3歩進む
1〜3本目の重要なポイントは以上です。
1本目、2本目、3本目の詳細は
日本剣道形1本目、2本目、3本目のポイント
の記事で詳しく解説していますので参考にどうぞ。
日本剣道形4本目、5本目のポイント
日本剣道形の4本目と5本目は2段以上の審査で必要になります。
4本目 突き返し面
5本目 面すりあげ面
4本目のポイント
4本目のポイントは
・脇構えはひざよりも低く構える(動画は剣先が高いので真似しないでください)
・構えてから最初の3歩は小さく、
・4歩目は面の高さに打ちます。
・中段の構え(一足一刀の間合い)から打太刀は仕太刀の右肺を突きます。
・仕太刀は左手を上に上げて、打太刀の突きを交わしながら左前に開き足で、正面を打ちます。
5本目のポイント
5本目のポイントは
・1本目と違って、打太刀はあごのあたりまで切ります。
・仕太刀は面をすりあげて正面を打ちます。
・仕太刀は右足を引きながら相手の顔に剣先を向け、右足をさらに引いて左上段。
動画は打太刀の面が仕太刀に届かないところを打っているので、もっと近間から打つようにしてください。
4本目、5本目の重要なポイントは以上です。
4本目、5本目の詳細は
日本剣道形4本目、5本目のポイント
の記事で詳しく解説していますので参考にどうぞ。
日本剣道形6本目、7本目のポイント
6本目と7本目は三段以上の審査で必要になります。
だんだん難しくなってきます。
6本目 小手すりあげ小手
7本目 面抜き胴
6本目のポイント
6本目のポイント
・仕太刀が下段から中段に上げていくときに刀を見ないようにします。
・刀が当たる前に打太刀は右足を下げながら左上段になります。
・打太刀の小手は小さく鋭く打ち、
・小手打ちを仕太刀は左足を斜め後ろに半歩下がりながら小さくすりあげて、右足から前に出て鋭く小手を打ちます。
目付けを離さないようにしましょう。
すりあげは「払い」にならないように、
剣先は中心のまま、三日月の形に沿って両手を動かすイメージです。
7本目のポイント
7本目のポイントは
・打太刀は左に刀をひねりながら仕太刀の胸を突きます。
・仕太刀は左しのぎで打太刀の刀を支えるように、刀を右にひねって受けながら一歩下がります。
・打太刀の面を仕太刀は右足から3歩で抜き胴を打ちます。打ったあと目付を切らないように注意
・打太刀は仕太刀を見て、仕太刀は脇構えに構えてから正面に構えます。このとき打太刀は脇構えになりません。
・立ち上がって中段に構えたあと、打太刀は大きく回って、仕太刀は小さく回って元の位置に戻る
7本目だけ、打太刀は面を打ったあとだけ目付が切れます。
その他は目付が切れないように注意しましょう。
6本目、7本目の重要なポイントは以上です。
6本目、7本目の詳細は
日本剣道形6本目、7本目のポイント
の記事で詳しく解説していますので参考にどうぞ。
日本剣道形小太刀1本目、2本目、3本目のポイント
小太刀の形は4段以上の審査で必要です。
小太刀の形は仕太刀が小太刀になります。
小太刀の構えは右足を前に出して半身に構えます。
太刀から小太刀への持ち換えのポイント
太刀から小太刀への持ち換えのポイントは
・太刀の7本目が終わったあと、刀を納めて9歩の間合いに戻って、右手に持ち換え、礼、
・仕太刀は下がって小太刀に持ち換えます。
・右手に小太刀を持って9歩の間合いに立ち、
・お互いに礼をして蹲踞し、5歩下がって中段に構えます。
小太刀の形1本目のポイント
小太刀の形1本目のポイントは
・仕太刀の構えは少し高め(剣先が打太刀の左こぶしの高さ)
・打太刀の面を左しのぎでかわすとき、右手を上にしっかりと上げながら、右足を開き足で右斜め前に出す。
・仕太刀は正面を打ったあと、左足から下がってゆっくりと上段に構える。(あわてない)
動画では打太刀の面が届いていないので、届くように打ちましょう。
小太刀の形2本目のポイント
小太刀の形2本目のポイントは
・打太刀が下段から中段になろうとするときに、仕太刀は抑え込むように剣先を下げる
・打太刀は刀が触れる前に右に開いて脇構えから、すぐに正面を打つ
・仕太刀は右手を上げ、右しのぎで面を交わしながら左前に開き足でかわし、正面を打つ
・仕太刀は相手の右腕(上腕)を上から押さえるようにして、拳は右腰、剣先を打太刀の喉に向けて残心をとります
小太刀の形3本目のポイント
小太刀の形3本目のポイントは
・打太刀は3歩目で正面を打ちます。
・仕太刀がすりあげるとき、打太刀は面の位置で刀を止める(すりあげやすくする)
・すり落としは前下の方向に刀をひねりながら打太刀の刀をすり落とす
・左足を斜め前に出しながら体を回して、左しのぎで打太刀の胴をすり流し、
・左しのぎですり込み、最後は刀が直行するように、打太刀のつばに仕太刀の刀のつばもと(はばき)が当たるようにすりこむ。
・刷り込むときに左手で打太刀の上腕を下から支えて、ひじをきめるように刀を押さえる。
・打太刀から3歩下がって、仕太刀も合わせて3歩進み、2本目と同じように残心
小太刀の形3本目はすりあげ、すり落とし、すり流し、すり込みの4つの流れがスムーズにできるように練習しましょう。
すり流しに入るときは、刀を立てて左しのぎで胴を受けると、空振りしにくくなります。
小太刀の形1本目、2本目、3本目の重要なポイントは以上です。
小太刀の形1本目、2本目、3本目の詳細は
日本剣道形 小太刀の形1本目、2本目、3本目のポイント
の記事で詳しく解説していますので参考にどうぞ。
日本剣道形をわかりやすく解説します【ポイントを総点検】まとめ
日本剣道形の注意するべき重要ポイントを解説しました。
剣道形は木刀を使うので、相手に怪我をさせないよう注意して練習しましょう。
打太刀のポイント
打太刀は相手の面や小手に届くように打っていきます。
仕太刀がかわさないと当たるところを打つことを意識しましょう。
相手に届かないところ(手前)を打ってしまうと、緊張感のない形になってしまうので、特に3段以上は要注意です。
仕太刀のポイント
仕太刀は相手を打つときに、寸止めにしますが、
当たらないようにすると同時に、もう少しで当たりそうなところまで打ちます。(寸止めなので3センチぐらいが理想)
打ちがゆっくりだと緊張感がない形になってしまうので、ピシッと打つようにします。
木刀は竹刀より重たいので、相手に当たらないように注意してください。
打ちのあとの動きはゆったりと、残心をしっかりと示します。
各形の流れや細かいところについては1本ずつ動画つきで解説しているので、参考にどうぞ。
自分の木刀を持つと、自分にあった重さの木刀で練習や審査が受けられます。
まだマイ木刀を持っていない方はこちらの記事をどうぞ
剣道の木刀の選び方(昇段審査用のマイ木刀選びのポイント)